AIやDX、FinTechといったデジタル技術の進展は、多くの業界に影響を与えています。銀行業界も例外ではなく、融資の仕組みや金融サービスの提供方法が変わりつつあります。
特に事業を経営している方にとっては、銀行との取引は欠かせないため、業界の動きを理解しておくことが重要です。
融資手続きの簡略化や新しい金融サービスの登場など、事業運営に役立つ変化も増えています。
本記事では、銀行DXとFinTechの潮流を整理し、銀行融資がどのように変わっていくのかを見ていきます。
銀行業界で進むDXとFinTechの活用
近年、銀行業界では、DX(デジタルトランスフォーメーション)とFinTechの活用が急速に進んでいます。


これまで銀行はレガシーな業界といわれてきましたが、ITの進化に加えてAI技術の発達により、業務やサービスのあり方が大きく変わりつつあります。
例えば、オンラインで融資申し込みができる仕組みや、AIを活用した与信審査などが導入されています。
また、ネット銀行はシステムの柔軟性を活かし、新しい金融サービスを展開しやすい強みを活かしています。請求書カード払いなど、FinTechサービスと銀行機能を組み合わせた新しい資金調達の仕組みも広がっています。
融資審査はどのように変わるのか
銀行DXやFinTechの進展により、融資審査の方法も変化しています。
従来は決算書や事業計画書を中心に、担当者が時間をかけて審査を行うケースが一般的でした。
現在は、会計データや取引履歴などのデータを活用し、より効率的に審査を行う仕組みが広がりつつあります。AIやデータ分析を活用することで、審査のスピードが向上し、オンラインで申し込みから審査まで完結するサービスも増えています。
中小企業の資金調達への影響
銀行DXやFinTechの進展は、特に中小企業の資金調達環境にも変化をもたらしています。
ネット銀行や新しい金融サービスは、従来のメガバンクとは異なり、創業間もない企業や中小企業への融資にも積極的に取り組む傾向があります。
これまで銀行融資は実績や規模が重視されることも多く、若い企業にとってハードルが高い面がありました。
しかし、データ活用やオンライン融資の広がりにより、新しい評価基準で資金調達の機会が生まれています。こうした流れは、中小企業にとって資金調達の可能性を広げる動きといえます。
専門家が見る銀行におけるDXとFinTech

静岡大学
遠藤正之 名誉教授
銀行におけるDXとFinTechの動向
2020年以降のBaaS(Banking as a service)の進展と2022年以降のデジタルバンク開業が代表的な動きである。
BaaSは、非銀行企業に銀行機能を提供するものであり、非銀行企業視点では、組込型金融(Embedded Finance)とも言われる。住信SBIネット銀行(2026年8月からはドコモSMTBネット銀行)、GMOあおぞらネット銀行、みんなの銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)の3銀行が特に積極的である。
デジタルバンクに関しては、みんなの銀行、UI銀行(東京きらぼしフィナンシャルグループ)、01銀行(池田泉州ホールディングス)の3銀行が開業し、三菱UFJフィナンシャルグループも開業を計画している。
BaaSでは銀行が黒子になるのに対し、デジタルバンクは銀行があくまでも主役となる点で対照的な動きであるが、デジタルチャネルで顧客獲得を目指す点では共通している。
